国会議事堂の見学は「参観」の仕組みを知ることから
東京・永田町の国会議事堂の見学では、議場や中央広間を巡りながら、日本の政治と昭和初期の建築に触れられます。
内部の見学は「参観(さんかん)」と呼ばれ、衛視・係員の案内に沿って決められた順路を約60分かけて進みます。
衆議院・参議院とも通常の日本語参観は無料で、9名以下の個人であれば事前予約なしで当日に申し込めます。
衆議院と参議院では見学の申込み先と実施日が異なる
国会議事堂は、正面から見て左側が衆議院、右側が参議院です。
参観の手続きは両院で別々に行われるため、まずどちらの参観案内を使うか決めましょう。
同じ建物でも受付や撮影条件が共通とは限らず、片方の情報をそのまま他方に当てはめないことが大切です。
両院の通常参観の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 衆議院 | 参議院 |
|---|---|---|
| 実施日 | 平日・土曜・日曜・祝日 | 月曜〜金曜(休日・年末年始を除く) |
| 参観の時間 | 平日は16時までに受付、土日祝は9時30分・10時30分・11時30分・13時・14時・15時の6回 | 9時〜16時の毎正時 |
| 所要時間 | 約60分 | おおむね60分 |
| 受付場所 | 平日は衆議院参観通用門内、土日祝は衆議院面会受付所内 | 参議院西通用門横の参観受付・入口 |
| 個人(9名以下)の予約 | 不要(当日受付) | 不要(当日受付) |
週末や祝日に見学したい場合は、土曜・日曜・祝日も参観を行っている衆議院を選ぶと日程を組みやすくなります。
国会見学の「参観」と会議の「傍聴」は別の手続き
参観は建物や議場を見学するもので、開かれている会議を見る「傍聴」とは手続きが異なります。
建築を楽しみたい場合は参観を選び、会議そのものを見たい場合は傍聴の案内を別に確認してください。
参観に参加すれば審議中の議員を見られる、というものではありません。

外国人の国会議事堂見学は英語ツアーか日本語参観かで選ぶ
英語で説明を聞きたい方は、衆議院の外国人向け英語ツアーを候補にすると計画を立てやすくなります。
通常の日本語参観と英語ツアーは、申込み方法を分けて確認しましょう。
衆議院の英語ツアーはメールで事前予約する
衆議院の英語ツアー(Tours of the National Diet in English)は、事前にメールで申し込みます。
予約はメールでのみ受け付けており、申込み先は専用アドレス(diettour@shugiinjk.go.jp)です。
実施は月曜が14時、火曜〜金曜が15時からの1日1回で、土曜・日曜・祝日と12月29日〜1月3日は行われません。
所要時間は約60分で参加費は無料、1日の定員は30名、1回の申込みで登録できるのは9名までです。
申込みは希望日の2か月前から前日まで受け付けており、旅行会社やツアー会社ではなく個人からの申込みに限られます。
メールには、申込用メールに指定された必要事項を漏れなく記載します。
必要事項が欠けている場合や、質問・添付ファイルなどの余分な情報を加えた場合は受け付けられないため注意しましょう。
送信しただけで参加できると判断せず、参加可否と登録番号、集合日時が記された返信を確認してください。
1日の定員が限られているため、実施日や受付期間を旅行日程と照らし合わせ、日程が決まったら早めに申し込みましょう。
英語ツアーの返信後に登録用紙とパスポートを準備する
英語ツアーは、予約の返信を受け取った後にも準備が必要です。
- 返信で案内された登録用紙を印刷・記入して持参する。
- 本人確認のため、参加者全員が自分のパスポートを持参する。
- 集合案内と持ち物を同行者にも共有する。
代表者だけに準備を任せず、出発前に各自で持ち物を確認しておきましょう。
入館時にはゲート式の検査機による保安検査があり、衛視によるかばんの中身の確認にも応じる必要があります。
衆議院の日本語参観は口頭説明を理解できるかで判断する
衆議院の通常参観では、衛視・係員の説明と指示は日本語のみです。
外国人も、日本語を話す人が同行する場合は、通常の日本語参観へ申し込めます。
また、英語・中国語・韓国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語の衆議院紹介パンフレットもあります。
外国語のパンフレットがあることと、その言語で口頭案内を受けられることは別に考えましょう。
参議院を選ぶ場合も、外国語対応を前提にせず、必要な支援を参観係(03-5521-7445)へ相談しておくと安心です。

国会議事堂へのアクセスは最寄り駅と参観受付の場所まで確認する
電車で向かう場合は、東京メトロの国会議事堂前駅や永田町駅を利用できます。
地図では建物の正面だけでなく、参加する参観の受付・集合場所を目的地にしてください。
最寄り駅は利用する地下鉄の路線で選ぶ
国会議事堂前駅には東京メトロ丸ノ内線・千代田線、永田町駅には有楽町線・半蔵門線・南北線が乗り入れています。
国会議事堂前駅は溜池山王駅と乗り換えができるため、銀座線からも利用しやすい駅です。
参議院の参観受付へは、永田町駅の出口1から徒歩約3分、国会議事堂前駅の出口1から徒歩約6分です。
宿泊先から利用しやすい路線を選び、駅の出口案内と参観先の案内図を合わせて確認すると、地上に出てから迷いにくくなります。
受付手続きや手荷物検査を見込み、集合時刻ぎりぎりに駅へ着く予定は避けましょう。
衆議院・参議院の参観受付の入口を取り違えない
衆議院の通常参観は、平日は議事堂裏側の衆議院参観通用門内、土曜・日曜・祝日は衆議院面会受付所内で受け付けます。
衆議院の参観は、衆議院ビジターセンターが出発地点で、国会を紹介するパネルや映像を見ながら出発を待てます。
英語ツアーに参加する場合は、返信メールで指定された集合案内を優先してください。
参議院の参観受付・入口は、参議院西通用門の横にあります。
参議院では参観開始の20分前から5分前までに受付と手荷物検査を行うため、開始20分前を目安に受付へ向かいましょう。
外観を先に撮影する場合も、受付へ向かう余裕を残し、入口が分からなければ係員に参観先を伝えて確認しましょう。

国会議事堂見学の見どころは議場・中央広間・御休所
議場の座席配置や中央広間の装飾に目を向けると、建物の役割と空間のつくりを結び付けて楽しめます。
国会議事堂は1920年(大正9年)1月から1936年(昭和11年)11月まで17年をかけて建てられ、中央塔の高さは65.45mあります。
実際に案内される範囲は当日の参観コースに従い、気になる場所へ自由に移動しないようにしましょう。
参議院の参観コースは、参観ロビーから参議院議場、御休所、中央広間を経て前庭へ向かう順路です。
衆議院本会議場では議長席と議席の配置を見る
衆議院本会議場は本会議が開かれる場所で、正面中央の高い椅子のある席が議長席、その左隣が事務総長席です。
議長席を中心に左右2列ずつ並ぶ席のうち前列は国務大臣席で、内閣総理大臣の席は左側の議長席に近い位置にあります。
議員の席は、議長席に向かって左から右へ、所属議員数の多い会派から順に座るのが慣例です。
各議席に備えられた「氏名標(しめいひょう)」と呼ばれる黒い四角柱など、会議の映像では見落としがちな細部にも注目してみてください。
天井のステンドグラスの裏側には556本の蛍光灯が設置されており、見上げると光を通した色ガラスの模様を確かめられます。
座席の位置を確かめながら眺めると、発言する側と議論を聞く側の関係を思い描きやすくなります。
中央広間では吹き抜けのステンドグラスと銅像に注目する
中央広間は中央塔の真下にある4階吹き抜けの空間で、広さは267.65平方メートル、天井までの高さは32.62mあります。
上方から光を取り入れるつくりで、窓と天井には外国製の色ガラスを使ったステンドグラスがはめ込まれています。
広間の三方には、議会政治の確立に功労のあった伊藤博文、板垣退助、大隈重信の銅像が立っています。
装飾だけを追うのではなく、床から天井まで視線を動かすと、外から見た中央塔と内部の広がりを結び付けて見られます。
御休所では総檜造りと本漆塗りの仕上げを見る
御休所(ごきゅうしょ)は中央広間から中央階段を上がった先にあり、国会の開会式の当日に天皇陛下がお入りになる部屋です。
開会式の日には、両院の議長と副議長がこの部屋で陛下にお目にかかります。
総檜造りや本漆塗りの仕上げが特徴で、議場とは異なる工芸的な細部に注目できます。
当時の建築や工芸の粋を集めた部屋といわれています。
建築の説明で出てくる言葉を、見方と合わせて整理しておきましょう。
| 建築の言葉 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 吹き抜け | 上下につながる空間 | 天井までの広がり |
| ステンドグラス | 色ガラスによる装飾 | 光と色の重なり |
| 漆塗り | 漆を使った仕上げ | 艶と表面の質感 |
普段は閉じている中央玄関の役割を知る
国会議事堂の正面にある中央玄関は、普段は閉じられています。
扉が開くのは、開会式で天皇陛下をお迎えするとき、衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙の後の国会召集日に議員が登院するとき、外国の元首などが訪問するときです。

国会議事堂の撮影は参観先ごとのルールを守る
写真を撮れる場所でも、係員の指示とほかの参観者の通行を優先しましょう。
建物内を一律に撮影可能、または一律に撮影禁止と考えず、参加先の条件を確認することが重要です。
衆議院は撮影できる場所が限られる
衆議院では、参観コース内の本会議場、御休所、中央広間、建物外で、混雑時などを除いて撮影が認められています。
院内参観コースのその他の場所や営利目的の撮影はできません。
撮影可能な場所でも、現場で制限の案内があれば従ってください。
英語ツアーでも、写真を撮れるのは本会議場、御休所、中央広間と、建物の外を歩いている間です。
衆議院ビジターセンターには記念撮影スポットがあり、雨の日でも国会参観の記念写真を撮影できます。
参議院では歩きながら撮影しない
参議院では撮影は原則可能ですが、歩きながらの撮影や通行を妨げる場所、混雑して秩序を保てない場所での撮影はできません。
私的な宣伝や営利を目的とする撮影も認められていません。
そのほかの撮影についても、衛視の指示に従ってください。
参観中に迷いやすい撮影場面では、次のように行動するとよいでしょう。
| 場面 | 取る行動 | 避ける行動 |
|---|---|---|
| 撮影場所に着いたとき | 係員の案内を確認 | 許可を確かめず撮影 |
| 順路を移動するとき | カメラを下ろす | 歩きながら撮影 |
| 人が集まっているとき | 通行を優先する | 通路をふさぐ |
国会議事堂見学の手荷物と当日の注意点を確認する
身軽に訪れ、受付から退出までをひと続きの予定として考えると、参観に集中しやすくなります。
大きな荷物を預けて歩きやすい靴で訪れる
衆議院の英語ツアーでは大きな荷物の保管設備がなく、参議院ではスーツケース類を院内に持ち込めません。
衆議院の通常参観でも、手荷物はハンドバッグ程度の必要最小限にするよう求められており、荷物を預ける場所はありません。
移動日の立ち寄りなら、駅のコインロッカーや宿泊先に荷物を預けてから向かいましょう。
参議院の手荷物検査では、かばんのほか、開封済みのペットボトルや缶、瓶、水筒も確認の対象です。
国会議事堂には段差や階段が多く、衆議院でエレベーターの利用を希望する場合は衛視・係員に申し出てください。
衆議院ではスロープやエレベーターが整備され、貸出用の車椅子も用意されています。
参観は約60分の行程で階段の上り下りもあるため、歩きやすい靴で訪れると安心です。
階段の移動に不安がある方は、予約や来訪の前に参観先へ相談してください。
会議による変更と途中退出の制限に備える
本会議や院内の事情によって、参観の中止やコース変更が行われる場合があります。
参議院では、本会議が開かれる日は開会予定時刻の1時間前から散会まで参観が中止されます。
混雑時などには、予告なくコースが変わったり説明が簡略になったりする可能性もあります。
英語ツアーは直前に中止の連絡が届く可能性もあるため、申込みに使ったメールを出発前にも確認しましょう。
参観中は係員から離れて自由に歩くことができず、気軽に途中退出して別の観光へ移る予定も組めません。
参観者は院内の食堂を利用できないため、食事は見学の前後に計画しましょう。
トイレは参観の出発前に済ませておくと安心です。
衆議院ビジターセンターにはトイレや自動販売機コーナーがあり、参議院では参観ロビーで待つ間にトイレを済ませてください。
参観後の予約や移動は詰め込みすぎず、受付や案内の状況に合わせられる余裕を残しましょう。
国会議事堂周辺の関連スポット「衆議院憲政記念館」
国会議事堂の近くには、議会制民主主義への理解を深める目的で設立された衆議院憲政記念館があります。
1972年(昭和47年)3月に国会前庭(北地区)で開館し、新しい憲政記念館の建設に伴い、2022年(令和4年)5月に代替施設へ移転しました。
代替施設では憲政史の資料展示に加え、国会の組織や運営を分かりやすく紹介する体験学習の場も設けられています。
本会議の議事を体験できる議場体験コーナーもあります。
開館時間は9時30分〜17時(入館は16時30分まで)で、入館料は無料です。
毎月末日と12月28日〜1月4日は休館日で、臨時休館もあるため訪問前に開館日を確認しましょう。
所在地は東京都千代田区永田町1-8-1で、新しい憲政記念館は2030年3月(令和11年度末)の開館を目指しています。
まとめ
国会議事堂の見学は、まず参観先と説明言語を選び、その案内に合わせて申込みや持ち物を整えることから始まります。
英語ツアーの返信内容、受付の位置、荷物と撮影の条件を確かめておけば、当日の行動を決めやすくなります。
係員の案内に従いながら議場の配置や建築の細部を眺め、日本の議会が使う空間を旅の体験として楽しんでください。





口コミ (0)