西湖いやしの里根場の成り立ちを知る
西湖いやしの里根場は、富士山を正面に望む扇状地に茅葺家屋を再建し、根場地区の歴史と暮らしを伝える観光交流施設です。
美しい景観の奥には集落を襲った土砂災害と復興の歩みがあるため、建物、展示、風景を一続きに見ることが大切です。
武田氏の時代から続いた根場集落
根場集落は武田氏の時代には形成されていたとされ、かつて約40軒の茅葺民家が建っていました。
住民は林業、炭焼き、養蚕、酪農などに携わり、家々の庭や道端に花を育てながら共同体の暮らしを築きました。
村人が協力して屋根を葺き替えたという記録からは、茅葺家屋が一軒だけで維持できる建物ではなかったことが分かります。
1966年の土砂災害
1966年9月、台風による記録的な大雨で土石流が発生し、根場集落の茅葺家屋は大きな被害を受けました。
当時41棟あった茅葺民家のうち37棟が全半壊し、集落は消滅したとされています。
砂防資料館の解説は、建物の損失だけでなく、人々の生活と地域のつながりが突然断ち切られた災害として伝えています。
写真映えする集落として楽しむ前にこの出来事を知ると、再建された風景が持つ意味をより慎重に受け止められます。
2006年に生まれた交流施設
災害から40年を経た2006年、地域の歴史、文化、自然環境を生かす拠点として西湖いやしの里根場が誕生しました。
再建にあたっては20棟の茅葺家屋を中心に整備され、失われた集落景観がよみがえりました。
古材を使って兜造りの茅葺家屋を再建し、炭焼き小屋や養蚕室も再現して、失われた景観と生活文化を伝えています。
再現施設であることを隠さず、残った建物や資料と組み合わせて過去を学べる点に、この場所の価値があります。
| 時代 | 根場の出来事 | 見る場所 |
|---|---|---|
| 武田氏の時代 | 集落が形成 | 集落全体 |
| 1966年 | 土砂災害が発生 | 砂防資料館 |
| 2006年 | 交流施設が誕生 | 再建家屋 |
| 2011年 | 旧渡辺住宅を登録 | 保存建物 |

兜造りの茅葺家屋を観察する
里内の中心となる茅葺家屋は、富士北麓の暮らしと養蚕に適応した兜造りの形を伝えています。
同じように見える屋根も角度や用途で表情が異なるため、遠景、側面、室内の順に見ると構造を理解しやすくなります。
兜のように開く屋根
兜造りは、茅葺屋根の上部に切り上げたような開口部を設け、兜を思わせる輪郭をつくる形式です。
開口部は2階の採光や通風に役立ち、蚕を育てる空間へ光と空気を取り込む工夫にもなりました。
正面から屋根の輪郭を見た後に斜めへ移動すると、急勾配の屋根と開口部の立体的な関係が分かります。
茅葺を支えた共同作業
茅葺屋根は雨や雪を流す厚い層をつくる一方、定期的な補修と葺き替えを必要とします。
多くの人手を要する作業を村全体で支えたことは、家が個人の所有物であると同時に共同体の景観でもあったことを示します。
軒先へ近づき過ぎず、茅の重なり、切りそろえ方、屋根を支える骨組みを見られる範囲から観察しましょう。
再建家屋と保存建物を区別する
里内には再建された茅葺家屋と、災害を経て残った旧渡辺住宅があり、どちらも根場の歴史を異なる方法で伝えます。
再建家屋は集落景観と体験の場をよみがえらせ、保存建物は実際の部材や間取りを通して生活の時間を伝えます。
すべてを昔のまま残った建物とみなさず、案内板で建物ごとの来歴を確かめると、展示の意図を正確に理解できます。

旧渡辺住宅で養蚕の暮らしを読む
旧渡辺住宅は江戸時代末期に建てられた養蚕家屋で、1966年の土砂災害を経て残った貴重な建物です。
外観だけでなく、土間、板間、座敷、2階の役割をたどると、根場の家族が働き暮らした空間が立体的に見えてきます。
国登録有形文化財の保存建物
旧渡辺住宅は2008年に保存修復が行われ、2011年に国の登録有形文化財となりました。
兜造りの上部には木枠格子の破風があり、入母屋風の形と屋根飾りが根場の茅葺民家らしさを伝えます。
再建された家屋と見比べると、古い部材が持つ質感や、保存のために手を加えた部分への理解が深まります。
土間から座敷へ続く間取り
住宅の東側には土間と板間、中央には広間、西側には座敷が配され、作業と生活をつなぐ構成になっています。
囲炉裏やかまどは調理と暖房の中心であり、家族が集まる場と日々の仕事が近接していたことを示します。
室内では敷居や展示物に触れず、見学順路を守りながら、床の高さや部屋のつながりに注目しましょう。
2階に残る養蚕の痕跡
風通しのよい2階には養蚕の痕跡があり、蚕を育てる仕事が住宅の形を左右したことを確認できます。
屋根の開口部、室内の換気、上下階の移動を結び付けると、兜造りが見た目だけの意匠ではないと分かります。
古い家電や生活用品の展示も合わせて見ると、伝統的な家屋の中へ新しい道具を取り入れた暮らしの変化を読み取れます。
| 場所 | 主な役割 | 観察点 |
|---|---|---|
| 土間 | 出入りと作業 | 床材の違い |
| 広間 | 家族の生活 | 囲炉裏との関係 |
| 座敷 | 応接と儀礼 | 部屋の格式 |
| 2階 | 養蚕 | 採光と通風 |

砂防資料館で災害と再生を学ぶ
砂防資料館は、茅葺集落の景観を失わせた災害を記憶し、防災意識へつなげるための学びの場です。
美しい里を歩いた後に資料館へ入ると、自然の恵みと危険が同じ地形の上にあることを実感できます。
写真と映像で被害をたどる
館内には1966年9月の土砂災害を伝える写真パネル、映像、新聞資料、書籍などが展示されています。
被災前の集落、災害の痕跡、復興の過程を順に見ることで、数字だけでは捉えにくい生活の変化が分かります。
被災者の経験を扱う展示なので、大声や軽い調子での撮影を避け、説明文を落ち着いて読む姿勢が求められます。
地形と防災を旅に持ち帰る
扇状地は山から流れ出た土砂がつくる地形であり、平坦な土地を生む一方、大雨時の土砂移動と深く関わります。
展示を見た後に屋外で山の斜面と集落の位置を確かめると、地形を読むことが防災の第一歩になると理解できます。
旅行中も天候情報、避難案内、立入規制を確認し、異変を感じたら施設職員の指示に従うという行動へ学びをつなげましょう。

富士山の景観と体験を組み合わせる
里内では茅葺屋根の向こうに富士山を望む景観と、建物を活用したものづくりや文化体験を組み合わせられます。
天候で山が見えない場合も、建築、暮らし、防災、工芸を目的に入れておけば、満足度が空模様だけに左右されません。
茅葺屋根と富士山を撮る
富士山と家並みを同じ画面へ入れると、山麓の暮らしと自然環境の近さを表す構図になります。
高い位置からは屋根の重なりを、家屋の近くからは茅の質感を主役にすると、同じ風景でも異なる印象をつくれます。
撮影時は通路の中央に三脚や荷物を置かず、建物内の撮影可否と人物の映り込みに配慮してください。
ものづくり体験を選ぶ
体験内容は店舗ごとに異なり、作品の種類、受付方法、所要、料金などの条件も変わるため、総合案内所で確認するのが確実です。
参加したい体験がある場合は、散策の最初に受付条件を確かめ、開始までの時間に家屋や展示を巡ると動きやすくなります。
作品を持ち帰る場合は乾燥や梱包の条件も聞き、旅行中に破損しない保管方法を考えておきましょう。
郷土の食と休憩を楽しむ
里内の食事処や休憩空間は、茅葺家屋の雰囲気の中で地域の味に触れ、散策の合間に体を休める場所です。
店舗の営業日や提供内容は施設全体の開館条件と同じとは限らないため、利用したい店は個別の案内を確認します。
持ち込みが認められる場所と飲食を控える展示室を区別し、ごみや食べこぼしで保存環境を損なわないようにしましょう。
| 過ごし方 | 最初の確認 | 組み合わせ |
|---|---|---|
| 写真撮影 | 富士山の見え方 | 屋根の観察 |
| 工芸体験 | 受付と所要 | 展示見学 |
| 食事 | 店舗の営業 | 休憩 |
| 文化学習 | 建物の来歴 | 防災展示 |
営業時間とアクセスを確認する
西湖いやしの里根場は季節で営業時間が分かれ、入場料は施設保存協力金として設定されています。
体験や食事を加える場合は最終入場より早めに到着し、帰りのバスや道路状況まで含めて計画しましょう。
季節別の時間と料金
営業時間は3月から11月が9時から17時、12月から2月が9時30分から16時30分で、最終入場はそれぞれ閉館30分前です。
施設保存協力金は高校生以上500円、小学生と中学生250円で、体験や飲食には別料金が必要になる場合があります。
臨時休館や各店舗の営業状況に備え、訪問日の開館情報を出発前に確かめてください。
周遊バスと車を使い分ける
公共交通では河口湖駅方面から西湖周遊バスを利用できます。交通事業者の時刻表で運行条件を確認しましょう。
運行間隔と帰りの便を先に確認し、乗り遅れないよう入場、体験、食事の終了時刻を逆算しましょう。
車の場合は西湖周辺の道路と駐車場案内を確認し、天候や混雑を見込んで時間に余裕を持たせます。
西湖いやしの里根場のまとめ
西湖いやしの里根場は、兜造りの茅葺家屋と富士山の景観を楽しみながら、根場の暮らし、養蚕、土砂災害、復興を学べる場所です。
再建家屋と旧渡辺住宅を区別し、砂防資料館まで巡ることで、懐かしい風景が再生された理由を深く理解できます。
営業時間、体験、交通の条件を確かめ、撮影と文化財への配慮を守りながら、景観と学びの両方を味わってください。





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