国立科学博物館とは?日本館と地球館の違い
東京・上野恩賜公園にある国立科学博物館(こくりつかがくはくぶつかん、通称「科博(かはく)」)は、日本の自然や地球の生命史、科学技術に触れられる博物館です。
1877年(明治10年)に創立された日本で最も歴史のある博物館の一つで、自然史・科学技術史を扱う国立唯一の総合科学博物館でもあります。
常設展は日本館と地球館に分かれており、日本という土地を知りたい人にも、恐竜や動物が好きな人にも楽しみ方があります。
日本館で日本列島の自然と人々の暮らしを知る
日本館のテーマは「日本列島の自然と私たち」で、列島の成り立ち、生き物の多様性、日本人と自然の関わりを扱っています。
展示は「日本列島の素顔」「日本列島の生い立ち」「生き物たちの日本列島」「日本人と自然」など5つのテーマで構成され、1階から3階の展示室に分かれています。
旅行で見かける山や海、地域ごとの自然を、展示を通して捉え直せるのが魅力です。
生き物の名前だけでなく、どんな環境で暮らしているのかに注目すると、旅先の風景とのつながりが見えてきます。
中央ホールの吹き抜けやステンドグラスも見どころなので、展示室を移動する途中で建物にも目を向けてみましょう。
日本館の建物は1931年(昭和6年)に竣工した旧東京科学博物館本館で、飛行機の形をした平面をもち、2008年に国の重要文化財に指定されました。
地球館で恐竜や生命の進化をたどる
地球館では、地球の多様な生き物、恐竜の進化、生命の誕生と絶滅、科学技術の歩みなどを展示しています。
館全体のテーマは「地球生命史と人類」で、地下3階から3階までの展示室のうち、改修で閉鎖されているエリアを除いて見学できます。
日本館が日本列島に焦点を当てるのに対し、地球館はより広い視点で自然や科学を考える場所です。
すべてを同じ深さで見るより、「生き物の形」「進化のつながり」など、自分の関心を軸に選ぶと鑑賞にまとまりが生まれます。

国立科学博物館の見どころ|恐竜・動物の剥製・シアター36○
大きさに驚くだけでなく、体の形や展示の意図を見比べると、国立科学博物館の楽しみが広がります。
文字の説明をすべて読み切ろうとせず、気になった展示から理解を深めていきましょう。
地球館地下1階の恐竜骨格は頭や脚の違いに注目する
地球館地下1階の「恐竜の謎を探る」では、ティラノサウルスやトリケラトプスなどの展示を通して恐竜の進化を考えられます。
展示は「竜盤類恐竜の進化」「鳥盤類恐竜の進化」「中生代最後の日」の3つのセクションで構成されています。
まず全体の姿を眺め、次に頭の形、脚のつき方、尾の長さなどへ視線を移すのがおすすめです。
「どう動いたのだろう」と疑問を持って解説を読むと、骨格が研究の手がかりであることも実感しやすくなります。
名前を覚えることより、似ている部分と異なる部分を探すつもりで歩いてみてください。
その下の地下2階「誕生と絶滅の不思議」では、生命が誕生と絶滅を繰り返しながら進化してきた道のりを、化石や標本でたどれます。
地球館3階の動物の剥製から生き方の違いを想像する
地球館3階の「大地を駆ける生命」には、さまざまな哺乳類や鳥類の剥製(はくせい)が展示されています。
「サバンナの哺乳類」や「動物たちが生きるための知恵」などのコーナーに分かれ、野生動物の体のつくりと暮らしぶりを比べられます。
動物の姿をじっくり観察できるので、体つきや鳥の形の違いを比べてみましょう。
知っている動物を見つけてから周囲へ目を向けると、なじみのない種類にも関心を広げやすくなります。
同行者とそれぞれ気になる動物を選び、どこに目が留まったか話してみるのも楽しみ方です。
シアター36○は球体ドームの中で立ったまま映像を体験する
日本館地下1階の「シアター36○」は、球状のスクリーンに囲まれ、内部のブリッジに立って映像を見る施設です。
ドームの直径は12.8mで、実際の地球の約100万分の1の大きさに設定されています。
常設展の入館料で利用でき、鑑賞は先着順・入替制です。
上映は9時30分の初回から16時30分の最終回までで、1回の上映は約6分、各回の定員は40名です。
座席はなく、上映途中の入退場はできません。
浮遊感やスピード感のある映像が苦手な人、小さな子ども連れは、入口の注意事項を読んでから利用を判断しましょう。
作品は「恐竜の世界」「深海」「宇宙138億年の旅」などのオリジナル映像が用意されています。
上映作品は月によって異なり、最終回は定員に達し次第、16時30分より前でも受付が終了します。
日本館のフタバスズキリュウや屋外のシロナガスクジラも見逃さない
日本館3階北翼では、福島県いわき市で発見され、2006年に新属新種として記載された首長竜「フタバスズキリュウ」の骨格が見られます。
日本館には、渋谷駅前の銅像で知られる「忠犬ハチ公」の剥製も展示されています。
屋外には、海に潜るシロナガスクジラの姿を再現した全長約30mの実物大模型があり、見上げるだけでも迫力を感じられます。
日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたラムダロケットの発射装置や、D51形蒸気機関車も屋外に展示されています。

上野駅からのアクセスと入館料・開館時間
訪問前には、駅の出口と見たい展覧会の種類を確認しておくと、到着後の迷いを減らせます。
国立科学博物館の所在地は東京都台東区上野公園7-20で、上野恩賜公園の中にあります。
JR上野駅では公園口を目指す
JR上野駅の公園口から徒歩5分です。
東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅、京成上野駅からは、それぞれ徒歩10分です。
「上野駅」という名前だけで出口を決めず、利用する鉄道会社と出口を地図で照合しておきましょう。
車で訪れる場合は、上野公園周辺の駐車場を利用しましょう。
常設展の入館料と特別展のチケットを区別する
常設展の入館料は一般・大学生630円で、小・中・高校生は無料です。
年齢による無料制度もあり、65歳以上と18歳未満の人は常設展を無料で見学できます。
対象者には年齢を確認できる証明書の提示が求められます。
障害者手帳を持つ人とその介護者1名も、常設展の入館料が無料になります。
有料来館者が20名以上の団体で訪れる場合、一般・大学生の入館料は1人510円です。
電子チケットも事前購入できますが、特別展は料金や入場条件が異なるため、見たい展覧会の案内を確認してください。
チケットを選ぶときは、常設展が目的なのか、特別展も見たいのかを先に決めると選びやすくなります。
開館時間だけでなく休館日も開館カレンダーで確認する
通常の開館時間は9時から17時で、最終入場は閉館の30分前の16時30分です。
8月を除き、休館日は原則月曜日で、日曜・月曜が祝日や休日の場合は火曜日です。
年末年始(12月28日〜1月1日)や館内のメンテナンスなどによる休館にも注意が必要です。
毎年6月頃には、害虫駆除のためのくん蒸による休館期間も設けられています。
特別展の開催中などは変更もあるため、訪問日を開館カレンダーで確かめましょう。
最終入場の直前に着く予定にせず、見たい展示を選ぶ余裕を持たせると落ち着いて楽しめます。

日本語がわからなくても楽しめる国立科学博物館の回り方
言語のサポートを準備し、優先する展示を決めておけば、説明文を読む負担を抑えながら見学できます。
英語・中国語・韓国語の多言語ガイドを自分の見方に合わせて選ぶ
館内ガイドには英語、中国語の簡体字・繁体字、韓国語の版が用意されています。
スマートフォン向けの「かはく HANDY GUIDE」は、日本語・英語・中国語・韓国語に対応する無料の文字解説サービスで、音声はありません。
専用Wi-Fiは館内の一部エリアで利用できる展示解説用の接続で、インターネットにはつながらない点に注意してください。
インターネットを使いたい場合は、日本館1階中央ホールや地下1階ラウンジなどで無料の公衆無線LAN「Kahaku_Free_Wi-Fi」を利用でき、メールアドレスなどを登録すると1回60分接続できます。
ガイドの選び方を、見たい情報と利用方法で整理します。
| ガイド | 主な使い方 | 利用時の準備 |
|---|---|---|
| 館内ガイドPDF | 地図と施設の確認 | 来館前に保存 |
| HANDY GUIDE | 文字で展示解説 | 専用Wi-Fi接続 |
| 音声ガイド | 音声で展示解説 | 有料・現金払い |
音声ガイドも英語・中国語・韓国語に対応し、日本館地下1階のカウンターで貸し出しています。
料金は1台320円で、支払いは現金のみです。
貸出台数には限りがあるため、文字のガイドも使えるようにしておくと安心です。
見たい展示と閉鎖情報を照らし合わせる
常設展は決められた順路を一律に進む方式ではなく、興味に合わせて見て回れます。
地球館2階の一部展示と地下3階展示室には閉鎖の案内が出ているため、訪問前に公開範囲を確認してください。
地球館2階は改修工事のため「科学技術の歩み」の一部エリアが閉鎖されています。
地球館地下3階の「自然のしくみを探る」も、改修工事のため閉鎖されています。
なお、地球館2階で展示されていた「万年時計」は、日本館1階南翼の展示室に移されて公開されています。
見学の優先順位は、興味に合わせて次のように決めるとよいでしょう。
- 恐竜が好きなら、地球館の恐竜展示から見る。
- 日本の自然を知りたいなら、日本館を優先する。
- 子ども連れなら、気になる展示を選び、途中に休憩を入れる。
途中で関心が変わったら順番を変えてもよく、全館を回り切ることを目標にする必要はありません。
国立科学博物館の所要時間は両館で約2時間30分が目安
主な展示を巡る所要時間は、地球館が約90分、日本館が約60分の目安です。
両館の要点を押さえるなら約2時間30分、恐竜や動物の展示をじっくり見てシアター36○や食事も楽しむなら半日ほどを見込んでおくと慌てずに回れます。

写真撮影と飲食で守りたい館内マナー
写真や休憩のルールを知っておくと、展示を守りながら、ほかの来館者と気持ちよく過ごせます。
写真は個人利用の範囲で手持ち撮影する
館内の撮影は、撮影者本人が個人的に使用する場合に限り原則可能ですが、撮影禁止の表示や各会場のルールが優先されます。
特別展・企画展では扱いが異なるため、入口の掲示を確認してください。
常設展示を撮影するときの機材と対象のルールを整理します。
| 確認する点 | できること | できないこと |
|---|---|---|
| 撮影機材 | カメラの手持ち撮影 | 三脚・一脚・自撮り棒 |
| 照明 | 館内の明かりで撮影 | フラッシュ・追加照明 |
| 撮影対象 | 禁止表示のない展示 | 禁止表示の展示・上映映像 |
団体集合写真の撮影はできず、シアター内では上映中の撮影・録音も禁止されています。
撮影できる展示でも、通路をふさいだり、ほかの人を無断で大きく写したりしないよう配慮しましょう。
飲食は展示室ではなくラウンジやレストランなど指定の場所で行う
展示室内では飲食をせず、日本館地下1階のラウンジなど、飲食が認められた場所へ移動してください。
ラウンジの開室時間は9時30分から17時までです。
館内にはレストラン「ムーセイオン」と「くじらカフェ」もあり、見学の途中で食事や休憩を取れます。
「ムーセイオン」は地球館中2階、「くじらカフェ」は日本館地下1階のラウンジ内にあり、どちらも通常の営業時間は10時30分から17時で、ラストオーダーは閉店30分前です。
天気のよい日は、地球館屋上のハーブガーデンやスカイデッキでも飲食ができます。
食事の時間も予定に含め、展示を見る時間と休む時間を分けると、同行者のペースを合わせやすくなります。
子ども連れと荷物がある旅行者の準備
休憩場所と荷物の扱いを先に決めておくと、同行者のペースに合わせて動きやすくなります。
授乳室やベビーカーの案内を確認する
授乳室は日本館地下1階と地球館3階に設けられ、おむつ交換設備も館内にあります。
日本館地下1階の授乳室はラウンジ奥のシアター36○付近、地球館3階の授乳室はエスカレーター側にあります。
おむつ交換台は、地下1階を除く地球館の各階と、日本館の地下1階から2階の多目的トイレなどに設置されています。
貸出用の車いすやベビーカーは総合案内で相談できますが、予約はできず、空いている場合の利用となります。
用意されている台数は車いす、ベビーカーともに2台ずつなので、使い慣れたベビーカーを持参すると安心です。
子どもが興味を示した展示で立ち止まり、疲れたら休むつもりで予定を組むと、移動ばかりにならずに楽しめます。
地球館3階の「親と子のたんけんひろば コンパス」は主に4〜6歳の子どもと保護者向けの展示室で、利用には日時指定の予約と料金の支払いが必要です。
大型スーツケースと再入館に注意する
大型スーツケースは館内への持ち込みが禁止されています。
スキー板やスノーボード、ゴルフバッグなどの大きな荷物も同様に持ち込めません。
空港やホテルへ移動する日に訪れる場合は、宿泊先などで荷物を預けられるか、来館前に確認しておきましょう。
ペット(昆虫類を含む)を連れての入館も、身体障害者補助犬を除いてできません。
常設展へ当日中に再入館したい場合は、日本館地下1階の総合案内に申し出てください。
外へ出て休憩する予定なら、出館前に手続きを相談してください。
まとめ
国立科学博物館は、日本館で日本列島の自然を知り、地球館で生命の進化へ視野を広げられる場所です。
恐竜や動物標本を観察し、多言語ガイドを使って気になった展示を掘り下げると、自分らしい見学になります。
訪問日の開館状況と展示の閉鎖情報、チケットの種類、撮影や荷物のルールを確認して、上野での科学体験を楽しんでください。





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