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旧高野家住宅・甘草屋敷を歩く|甘草栽培と突き上げ屋根、江戸の暮らし

旧高野家住宅・甘草屋敷を歩く|甘草栽培と突き上げ屋根、江戸の暮らし
甲州市塩山の旧高野家住宅・甘草屋敷で、幕府へ納めた薬用植物の甘草、2段の突き上げ屋根を持つ大型民家、蔵や馬屋が残す屋敷構えを読み解きます。主屋の間取りや保存修理、薬草園の見方、文化財を守る参観作法、開館日・料金、塩山駅からの歩き方まで、初めての見学に役立つ順序でまとめます。

ひと目でわかるポイント

一言でわかる甘草屋敷

旧高野家住宅・甘草屋敷は、幕府御用の甘草栽培を伝える塩山の大型民家で、重要文化財の屋敷構えを見学できます。

2段の突き上げ屋根

切妻造の大屋根中央に2段の突き上げ屋根があり、かつて養蚕に使った2階と3階へ光を取り込みました。

大型民家の主屋

桁行24.8m、梁間10.9mの切妻造で、農作業を受け止める土間と家族が暮らす床上の居室が一つの屋根に収まります。

アクセス

JR中央本線の塩山駅北口から徒歩約1分で、鉄道で訪れやすい立地です。

開館時間と料金

開館は9時から16時30分で、個人料金は大人310円、子供200円、火曜と年末年始は休館します。

甘草と薬草園

屋敷の名の由来である甘草を薬草園で学べますが、園内の植物は採取も口にもできません。

屋敷全体の見どころ

甘草屋敷は主屋のほか蔵や馬屋、門、井戸や石垣を含む屋敷構えが保存され、農家の暮らし全体を見られます。

※最新情報は公式発表または現地でご確認ください。

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旧高野家住宅・甘草屋敷の歴史を知る

旧高野家住宅は甲州市塩山に残る江戸時代後期の大型民家で、主屋と附属屋、庭や石垣を含む屋敷構えが保存されています。

「甘草屋敷」という呼び名は、建物の意匠ではなく、高野家が薬用植物の甘草を栽培して幕府へ納めた歴史に由来します。

幕府御用の甘草を育てた家

1720年(享保5年)に幕府の採薬使である丹羽正伯が屋敷内の甘草を見分しました。

その結果、高野家には甘草の栽培と管理が命じられ、甘草園は年貢や諸役の免除を受けました。

栽培した甘草は幕府の薬園へ補給する苗や薬種として上納され、農家の仕事と公的な薬草政策がこの屋敷で結び付きました。

19世紀初頭に建てられた主屋

主屋は建築的な特徴から19世紀初頭の建物と考えられ、甲州を代表する民家として評価されています。

広い土間と居室、屋根裏の作業空間を一つの大きな屋根で包み、農作業と家族生活を同じ建物で支えました。

玄関から室内へ進むときは、用途の異なる空間が床の高さや建具でどのように分けられたかに注目しましょう。

重要文化財として守られた屋敷

主屋は1953年(昭和28年)に国の重要文化財へ指定され、全国的な民家調査が広がる前から価値を認められました。

1996年(平成8年)には蔵、馬屋、門、小屋などの附属建物と、井戸、池、石橋、石垣を含む宅地が追加指定されています。

主屋だけでなく敷地全体を見ることで、住まい、収納、家畜、出入り、水利用が組み合わさる農家の生活を理解できます。

年代 出来事 見学の手掛かり
1720年 甘草栽培を命じられる 薬草園と文書
19世紀初頭 主屋を建築 大型民家の構造
1953年 主屋を重要文化財指定 保存された部材
1996年 附属屋と宅地を追加指定 屋敷構え全体

2段の突き上げ屋根を見上げる

主屋の外観で最も目を引くのは、切妻造の大屋根中央に設けられた2段の突き上げ屋根です。

正面だけで形を確認するのではなく、屋根裏の採光や、かつて2階と3階で行われた養蚕との関係を考えると、意匠が生まれた理由を読み取れます。

大きな切妻屋根が主屋を覆う

主屋は桁行24.8m、梁間10.9mの規模を持ち、東西に大棟を通した切妻造です。

長い棟と深い軒が大きな内部空間を覆い、雨や強い日差しから外壁と生活の場を守ります。

少し距離を取って棟の長さと人の大きさを比べると、甲州の大型民家と呼ばれる理由を実感できます。

突き上げ屋根が光と風を通す

南面中央の2段の突き上げ屋根は、かつて養蚕に使われた2階と3階へ光を取り込むために設けられました。

屋根面から小さな屋根が段階的に立ち上がる形を追うと、外観のリズムと内部環境の工夫が一体になっていると分かります。

屋根裏を養蚕に活用した当時の暮らしを想像してみましょう。

茅葺型銅板葺として保存する

主屋はもともと茅葺でしたが、1960年(昭和35年)の修理で保存のため銅板葺へ改められました。

屋根の輪郭は茅葺の形を受け継ぎながら、表面材料を変えて建物を長く守る方法が選ばれています。

昔の材料がそのまま残る部分と、保存のため更新された部分を分けて見ることは、文化財修理を理解する基本です。

観察する場所 形の特徴 役割
大棟 東西に長い 大屋根をまとめる
切妻面 三角形 屋根裏を囲う
突き上げ屋根 2段に開く 養蚕空間の採光
深く張り出す 壁を雨から守る

主屋の間取りから江戸の暮らしを読む

主屋の内部は、農作業を受け止める土間と、家族が暮らす床上の部屋を大きな屋根の下でつないでいます。

豪華さだけを探すのではなく、動線、火、光、収納の位置を追うと、日々の仕事に合わせた合理的な住まいが見えてきます。

土間は作業と出入りの中心

土間は屋外から履物のまま入り、農産物や道具を扱えるため、家と農作業を結ぶ実用的な場所でした。

床上の居室との境を見ると、汚れや水を伴う仕事と生活空間を近くに置きながら分ける工夫が分かります。

見学では土間の広さ、柱の位置、天井の高さを順に確認し、大人数の作業を支えた空間として捉えましょう。

座敷と日常空間を見比べる

床上には家族が日常を過ごす部屋と、客を迎える座敷などが配置され、建具の開閉で空間を使い分けました。

畳、床の間、天井、柱の仕上げを比べると、同じ主屋の中にも用途に応じた格式の差があることに気付きます。

敷居や畳縁を踏まず、公開範囲と案内に従いながら、部屋同士の視線の通り方を観察してください。

火と煙を扱う知恵を見る

かまどや炉の周辺は調理と暖房に関わり、煙や火の粉を安全に扱うために土間や高い屋根空間が役立ちました。

高い屋根空間と室内の火の位置を結び付けると、外観と生活設備が別々ではないと理解できます。

木造文化財では火災予防がとりわけ重要なので、見学者も禁煙や火気禁止を守り、非常口を塞がない配慮が必要です。

蔵・馬屋・門を巡って屋敷全体を見る

甘草屋敷の価値は主屋だけで完結せず、巽蔵、文庫蔵、馬屋、門、小屋、庭の配置に広がっています。

建物ごとの役割と主屋からの距離を確認すると、幕末から明治初頭の屋敷経営を空間として理解できます。

蔵は財産と記録を守る

巽蔵や文庫蔵は、火や湿気から品物と文書を守るため、主屋とは異なる構造と閉じた外観を持ちます。

甘草栽培や家の沿革を伝える文書が残った背景には、記録を大切に保管する屋敷の仕組みがありました。

扉の厚さ、窓の小ささ、壁の仕上げに注目し、日常生活の開放的な部屋との違いを比べましょう。

馬屋と門が移動を支える

馬屋は農作業や運搬を担う馬を飼う場所であり、人だけでなく家畜を含めた生活を示します。

東門、裏門、座敷門は出入りの目的や相手を分け、屋敷内の動線と格式を整える役割を持ちました。

門から主屋、馬屋、蔵へ視線を移すと、作業、接客、保管が干渉し過ぎない配置の工夫を読み取れます。

井戸・池・石橋・石垣を読む

追加指定には井戸、池、石橋、石垣を含む宅地も入り、建物と庭を一体で保存する考え方が示されています。

井戸は生活用水、石垣は敷地の高低差と土留めに関わり、屋敷を安定して使う基盤になりました。

庭を飾りとしてだけ見ず、水、地形、通路の設計として観察すると、農家の暮らしを支えた環境が見えてきます。

屋敷の要素 主な役割 見るポイント
主屋 生活と作業 土間と居室
保管 厚い壁と扉
馬屋 家畜の管理 主屋との動線
門・石垣 出入りと敷地管理 配置と高低差

甘草と薬草園を学ぶ

甘草は屋敷の名を生んだ植物であり、農業、薬、幕府の制度を結び付ける重要な学習テーマです。

花や葉だけで種類を断定せず、園内の表示と資料を読み、栽培の目的と歴史へ目を向けましょう。

甘草は重要な生薬

甘草は甘味料や調味に使われるほか、薬用としても広く用いられる植物です。

利用部位や加工方法によって扱いが異なるため、園内の植物を自分で採取したり口に入れたりしてはいけません。

屋敷に残る甘草文書と薬草園を合わせて見ると、植物が記録、税、流通に関わる資源だったことを理解できます。

薬草園は季節ごとに姿が変わる

薬草園の植物は発芽、開花、結実、休眠によって見え方が変わり、訪問時に花がない場合もあります。

名札がある植物は名称、利用の歴史、育つ環境を確認し、屋敷の建築と土地利用を結び付けて観察しましょう。

園路から外れず、根や若芽を踏まないことが、歴史公園の植物と次の来訪者を守ることにつながります。

見学時間と参観作法を整える

旧高野家住宅は文化財であると同時に公開施設なので、開館日と料金を確かめ、建物を傷めない方法で見学する必要があります。

塩山駅北口に近い立地を生かし、列車の時刻へ余裕を持たせれば、主屋から庭まで落ち着いて巡れます。

開館日と料金を確認する

開館時間は9時から16時30分、個人料金は大人310円、子供200円です。

休館日は原則として火曜日と年末年始(12月28日から1月4日)で、曜日だけで判断せず、臨時休館の有無も訪問前に確認してください。

企画展示の内容も時期で変わるので、常設の建築と甘草の歴史を中心に据え、追加展示は開催内容を確かめましょう。

障害者手帳を持参した方と付添者1名は、手帳を提示すると観覧料が無料になります。

文化財へ触れずに観察する

柱、建具、展示品、薬草へ手を触れず、荷物を体の近くにまとめ、狭い場所では譲り合って進みます。

撮影の可否とフラッシュ使用は現地表示を優先し、三脚で通路や非常口を塞がないようにします。

床の段差や低い鴨居にも注意し、暗い場所でスマートフォンを見ながら歩かないことが安全につながります。

塩山駅から歩いて訪ねる

甘草屋敷はJR中央本線の塩山駅北口に近く、鉄道で訪れやすい文化財です。

塩山駅北口から徒歩約1分で、荷物が多いときや悪天候でも移動の負担が小さい立地です。

駅を出たら案内表示と横断箇所を確認し、住宅地では歩道を外れず、地域の生活動線を妨げないように歩きます。

駅周辺の歴史散策と組み合わせる場合も、閉館時刻から逆算して甘草屋敷の見学時間を先に確保しましょう。

旧高野家住宅・甘草屋敷のまとめ

旧高野家住宅・甘草屋敷は、幕府御用の甘草栽培、2段の突き上げ屋根を持つ大型民家、蔵や馬屋を備えた屋敷構えを伝える重要文化財です。

主屋の外観と間取り、附属屋、庭、薬草園を順に見れば、江戸時代の農家が仕事と生活を一つの敷地で営んだ姿を読み取れます。

開館日を確かめ、建物と植物へ配慮しながら、塩山に残る薬草と暮らしの歴史を丁寧にたどってください。

よくある質問

A. 甘草屋敷(正式名称:旧高野家住宅)は、山梨県甲州市塩山にある江戸時代後期の大型民家で、国の重要文化財に指定されています。幕府御用として薬草の甘草を栽培した高野家の主屋、蔵、馬屋、庭までを一体で公開する歴史公園で、江戸農家の暮らしを一度で学べます。
A. 甘草屋敷の名は、高野家が江戸幕府の命で薬用植物の甘草を栽培し、幕府へ納めたことに由来します。1720年(享保5年)に採薬使・丹羽正伯が屋敷内の甘草を見分し、栽培と管理を命じました。年貢諸役を免除されたのは一反十九歩の甘草園で、屋敷全体ではありません。
A. 甘草屋敷の開館時間は9時から16時30分までで、火曜日は休館です。ただし火曜日が祝日の場合は開館し、祝日の翌日と年末年始の12月28日から1月4日も休館します。祝日の関係による臨時休館もあるため、訪問日が祝日前後なら甲州市の開館日案内か電話0553-33-5910で確認してください。
A. 個人料金は大人310円、子供・学生200円で、20人以上の団体は大人200円、子供・学生100円です。ここで子供は6歳以上20歳未満を指し、20歳以上の学生も学生料金の対象です。障害者手帳を提示すると本人と付添者1名は無料になるため、対象者は受付で手帳を提示してください。
A. 甘草屋敷はJR中央線塩山駅北口の正面にあり、徒歩約1分で到着します。駅を出たら案内表示と横断箇所を確認して入口へ向かってください。帰りに列車を利用する場合は、運行本数を固定的に見込まず、当日の時刻表で発車時刻を確認してから見学時間を決めると安心です。
A. 普通車は隣接する無料駐車場を利用でき、観光案内では30台分とされています。ただし甲州市は台数に限りがあると案内しています。大型バス用駐車場は約700m離れた線路沿いにもあるため、団体は乗降場所と集合時刻を先に共有し、現地の駐車場地図と誘導に従ってください。
A. 2段の突き上げ屋根は、かつて養蚕に使った主屋2階・3階へ光を取り込むために設けられました。国指定文化財等データベースでは採光が目的とされ、通風までは明記されていません。南面中央の屋根と内部の梁組、上階へ入る光をあわせて見ると、甲州民家の空間設計を理解できます。
A. 主屋のほか、巽蔵や馬屋など5棟と、地実棚など3棟も重要文化財です。正式には巽蔵、馬屋、東門、文庫蔵、小屋、地実棚、裏門、座敷門に加え、井戸・池・石橋・石垣を含む宅地も指定されています。建物単体ではなく、幕末から明治初頭の屋敷構えを伝える一体として見学しましょう。

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