温泉津温泉とは?石見銀山の港町と湯治場の歴史を感じる温泉街
温泉津温泉(ゆのつおんせん)は、島根県大田市の温泉津湾に面した、港町の歴史と温泉文化が重なる温泉地です。
石州瓦の屋根が連なる通りには、湯だけではない町の魅力があります。
この記事では、元湯と薬師湯の日帰り入浴の料金や営業時間、共同浴場のマナー、町歩きの見どころ、温泉津駅からのアクセスまでを順に紹介します。
石見銀山を支えた港町の歴史を知る
温泉津は中世から石見銀山の外港として発展し、町並みは2004年(平成16年)7月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
種別は「港町・温泉町」で、温泉と港の歴史を伝える町並みが保存されています。
2007年(平成19年)7月には、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の構成資産のひとつとして、温泉津の町並みと港も登録されました。
狭い谷を切り開いた約800mの通りには、江戸末期から昭和初期にかけての町家や温泉旅館、寺社などが残ります。
建物を眺めるときは、古さだけでなく、港から山側へ伸びる町の形にも目を向けてみてください。
元湯・薬師湯の外湯を知る
温泉津で日帰り入浴を考える際の代表的な選択肢が、泉薬湯 温泉津温泉元湯と薬師湯です。
外湯とは、宿泊先のお風呂とは別に利用する共同浴場のことで、露天風呂という意味ではありません。
どちらも温泉街の中にある源泉かけ流しの浴場で、主な泉質は塩化物泉です。
共同浴場は観光客だけの施設ではなく、地域の人も利用する場所なので、その場の案内に合わせて静かに過ごしましょう。
入浴を詰め込まず、気になる外湯を選び、湯上がりには十分に休憩しましょう。

温泉津温泉の日帰り入浴|元湯と薬師湯の料金・特徴と選び方
元湯と薬師湯では、浴槽や設備だけでなく、利用できる曜日・時間帯にも違いがあります。
入りたい浴場を決めてから訪問日を組むと、現地で予定を立て直す負担を減らせます。
2つの浴場の基本情報を整理します。
| 項目 | 元湯(泉薬湯) | 薬師湯 |
|---|---|---|
| 通常の入浴料 | 大人(中学生以上)500円、小人(1歳以上・小学生以下)250円(1時間以内) | 大人600円、子ども300円 |
| 営業時間 | 月曜・木曜を除き、3〜11月は6時〜20時、12〜2月は6時〜19時 | 9時〜21時 |
| 休み | 毎年11月の第3月曜日 | 毎週火曜日 |
| 月曜・木曜 | 一般利用は6時〜8時のみ | 通常営業 |
| 主な特徴 | 温度の異なる3つの浴槽 | 貸切湯、ラウンジ、屋上テラス |
元湯は浴槽の案内を見て湯を選ぶ
元湯には「熱い湯」「ぬるい湯」「初めての方」と案内された浴槽があります。
湯温の目安は、熱い湯が46〜48度、ぬるい湯が43〜44度、初めての方向けが38〜40度です。
源泉は掘削や動力を使わずに地中から自然に湧き出る自噴泉で、源泉の温度は約50度です。
源泉かけ流しの湯は外気温や入浴者数などで温度が変わるため、名前だけで熱さを判断せず、入る前に確かめましょう。
熱い湯に挑戦することを目的にせず、自分が無理なく入れる浴槽を選ぶのが基本です。
元湯は「狸の池」の発見伝説を始まりとし、中世から湯主の伊藤家が代々受け継いできた歴史ある浴場です。
薬師湯は貸切湯や湯上がりの休憩も選択肢に
薬師湯の源泉は施設の真後ろにあり、地下2〜3mから自然に湧く約46度の湯を、手を加えずに浴槽へ注いでいます。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、2005年には日本温泉協会の審査で全項目最高評価の「オール5」を取得しました。
本館には貸切湯(家族湯)も設けられており、料金は40分・1人あたり大人1,000円、子ども500円です。
共同浴場で裸になることに不安がある人や、家族で利用したい人は、貸切湯の受付方法や利用条件を相談するとよいでしょう。
2階にはラウンジ、屋上にはガーデンテラスがあり、入浴後に町並みを眺めながら休む楽しみがあります。
Wi-Fiが利用でき、英語・フランス語での対応もありますが、外国語対応は不定期です。
元湯・薬師湯の営業時間と定休日に注意
元湯の月曜・木曜を除く通常の営業時間は、3〜11月が6時〜20時(最終受付19時30分)、12〜2月が6時〜19時(最終受付18時30分)です。
元湯は月曜・木曜の一般利用が祝日でも6時〜8時、最終受付7時30分で、その後に会員予約制の時間帯が設けられています。
月曜・木曜は8時〜9時が清掃のための閉館、9時〜16時が会員専用の時間帯(最終受付15時)となり、16時で閉館します。
会員枠に当日キャンセルが出た場合は、大人・子どもとも1人あたりタオル付き1,000円で一般利用できることもあります。
元湯は毎年11月の第3月曜日が休業日で、定期清掃で短縮営業となる日もあります。
薬師湯は毎週火曜が定休日ですが、菖蒲湯(5月5日)や冬至の柚子湯は営業し、祝日などの特別営業日は個別に確認が必要です。
薬師湯の営業時間は9時〜21時です。
通常の営業時間だけを見て出かけず、訪問日の一般利用枠、最終受付、臨時の変更を各施設の案内で確認してください。
タオルと洗面用品を準備しておく
元湯には備え付けの入浴用品やシャワー設備がなく、入浴用品は持参または現地購入となります。
受付では、フェイスタオルを300円、固形石けんを100円、リンスインシャンプーを250円で販売しています。
洗い方が分からない場合は、入浴前に受付で使い方を聞いておくと戸惑いを減らせます。
外湯へ向かう荷物は、着替えを含めて小さくまとめると扱いやすくなります。
- 体を洗うタオルと、湯上がりに体を拭くタオル
- 必要な洗面用品、髪留め、着替え
- 濡れた物を分けて入れる袋と飲み物

温泉津温泉の共同浴場で守りたい入浴マナー
一般的な日本の共同浴場では、水着を着ずに入浴し、湯船に入る前に体を洗います。
施設ごとの掲示を優先し、分からないことは脱衣前に受付で尋ねましょう。
体を洗い、かけ湯をしてから入る
洗い場では周りに湯がかからないようにし、石けんやシャンプーの泡を流してから浴槽へ向かいます。
かけ湯は、体に湯をかけて湯温に慣らす動作で、急に湯船へ入らず落ち着いて行いましょう。
タオルや髪を湯に浸けず、長い髪はまとめてから入りましょう。
浴場の案内で見かける言葉を、利用時の行動と合わせて整理します。
| 言葉 | 意味 | 利用時の行動 |
|---|---|---|
| 外湯 | 宿の外で使う共同浴場 | 受付で利用条件を確認 |
| かけ湯 | 入浴前に体へ湯をかける | 少しずつ湯に慣れる |
| 貸切湯 | 専用で利用する浴場 | 受付方法を確認 |
| 最終受付 | 入館を受け付ける締切 | 閉館時刻と区別する |
熱い湯は我慢せず、休憩を挟む
周りの人が長く浸かっていても合わせる必要はなく、熱いと感じたら浴槽から出て休んでください。
入浴の前後には水分を取り、飲酒後の入浴は避けるのが基本です。
元湯の通常の入浴料は施設を1時間以内で利用する料金で、1時間湯船に浸かってよいという意味ではないため、長湯を避けて余裕を持って上がりましょう。
湯上がりは体を拭いて着替え、十分に休憩しましょう。
撮影とタトゥーの扱いを先に確認する
ほかの利用者のプライバシーを守るため、浴室や脱衣所での撮影は控え、スマートフォンはしまっておきましょう。
タトゥーがある場合の対応は温泉地全体で決めつけず、利用したい施設へ事前に尋ねてください。
貸切湯でも条件を自己判断せず、利用できるか、覆う必要があるかなどを具体的に聞くと行き違いを避けられます。

温泉津の町歩きと見どころ
温泉津の通りでは、石州瓦の屋根や町家、洋風の建物を見比べながら歩く楽しみがあります。
入浴施設だけを目印にせず、軒先や屋根の重なりを眺めると、町の表情に気づきやすくなります。
石州瓦と町家の連なりを眺める
温泉街には赤や黒の石州瓦(せきしゅうがわら)を載せた建物が並び、港町と温泉町が重なってきた景観をつくっています。
通りを進むときは、屋根全体を眺めた後に、窓や軒先へ視線を移すと細部も楽しめます。
町並みを見る視点を、建物の部分ごとに整理します。
| 目を向ける部分 | 見比べる点 | 楽しみ方 |
|---|---|---|
| 石州瓦の屋根 | 赤と黒の色合い | 屋根の重なりを見る |
| 町家の軒先 | 軒の高さと並び | 通りの奥行きを見る |
| 洋館の窓や屋根 | 和風建築との違い | 形の変化を探す |
薬師湯旧館のカフェで建物を味わう
薬師湯の隣には、旧館を活用した震湯カフェ内蔵丞(くらのじょう)があります。
旧館は大正8年(1919年)に建てられた木造洋館で、温泉津に現存する温泉施設としては最古の建物です。
木造洋館の外観は、温泉旅館や町家とは異なる表情で、温泉街を歩く際の目印にもなります。
カフェの営業時間は11時〜15時(ラストオーダー14時30分)で、定休日は火曜日と木曜日です。
石見銀山にゆかりのある内藤家に口伝で伝わる「温泉津の奉行飯」や、温泉卵などのメニューが用意されています。
利用する場合は、カフェ自体の営業日とラストオーダーを確かめてください。
暮らしのある町として静かに歩く
温泉街は道幅が狭いため、写真を撮る際は立ち止まる場所を選び、車や歩行者の通行を妨げないようにしましょう。
歩道のない区間では、車に注意し、安全な位置で道を譲りましょう。
民家の敷地へ無断で入らず、店内や人物を写したいときは先に声をかけるのが基本です。
町の入口、温泉津湾のほとりに建つ温泉津観光案内所「ゆう・ゆう館」には観光協会の窓口があり、各種パンフレットやマップがそろっています。
開館時間は3〜11月が8時45分〜17時30分、12〜2月が9時15分〜16時30分で、12月31日〜1月2日は休館し、建物の前には7台分の駐車スペースがあります。
道順を確かめたいときや、町の見どころを聞いてから歩きたいときの立ち寄り先になります。
土曜の夜は龍御前神社の夜神楽を観る
温泉街にある龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)では、毎週土曜日の夜に石見神楽の定期公演「ゆのつ温泉夜神楽」が行われています。
龍御前神社には1532年の創建という伝承もあり、海と温泉にゆかりのある神々を祀る神社です。
公演時間は20時〜21時30分、観覧料は1席2,000円で、大人と子どもは同料金です。
観覧席は65席の座席表を基本とする完全予約制で、予備席が追加される日や休演日もあるため、日程が決まったら早めに予約しておきましょう。
神社は道路に面してすぐに階段があるため、足元に不安がある人は暗い時間の移動にも気をつけてください。
温泉津やきものの里で登り窯を見学する
温泉津町内の温泉津やきものの里には、長さ30mと20mの、日本最大級といわれる登り窯が残っています。
やきもの館では温泉津焼の資料展示や販売があり、事前予約で陶芸の創作体験もできます。
やきもの祭りは例年4月と10月に開かれ、登り窯への火入れは祭りの約1週間前に行われます。

温泉津温泉へのアクセスと日帰り・宿泊の考え方
鉄道で訪れる場合の起点は、JR山陰本線の温泉津駅です。
外湯の利用時間だけでなく、到着から帰りの列車までをひと続きの予定として組みましょう。
温泉津駅から温泉街への移動と乗車券の準備
温泉津駅から温泉街へは大田市の生活バスを利用でき、乗車時間は約5分です。
温泉街へ向かう際は「温泉前」で下車します。
徒歩の場合、駅から温泉街入口のゆう・ゆう館までは約800m・約10分、薬師湯までは10〜15分ほどが目安です。
徒歩を検討する場合も駅と目的の浴場の位置を地図で確認し、荷物や天候に合わせて移動方法を選んでください。
温泉津駅はICOCAに対応していないため、交通系ICカードだけに頼らず、利用区間の乗車券を準備しておきましょう。
駅にはみどりの窓口やみどりの券売機、コインロッカーがないため、切符の買い方や荷物の置き場所も事前に考えておくと安心です。
車の場合は、山陰自動車道の温泉津ICから約5分、出雲空港からは約1時間20分が目安です。
駐車場は、元湯が3か所で計22台、薬師湯が分散して計30台あります。
車で訪れる場合は、利用する浴場や宿の駐車場を確認し、狭い温泉街で駐車場所を探し回らない計画にすると安心です。
日帰りは帰路、宿泊は食事と入浴を先に決める
日帰りなら、帰りの列車やバスを決めたうえで、現地で過ごせる時間を考えましょう。
温泉で休む時間も残しておくと、予定が押した際にも散策の範囲を調整しやすくなります。
宿泊を選ぶ場合は、宿の風呂と外湯をどう使い分けるか、食事が付くプランかを予約時に確認してください。
夜神楽の会場には専用駐車場がなく、終演は21時30分のため、観覧前に帰りの移動手段を確保しましょう。
外で夕食を取る予定なら、食べたい店の営業や予約の要否を先に確かめておくと、湯上がりを落ち着いて過ごせます。
まとめ:温泉津温泉で外湯と町歩きを楽しもう
温泉津温泉は、元湯や薬師湯で日帰り入浴ができ、世界遺産の構成資産である港町の歴史的な町並みも残る場所です。
元湯の月曜・木曜の一般利用時間や薬師湯の火曜定休を確かめ、入浴用品と帰りの交通を準備してから出かけましょう。
湯の熱さを我慢せず、地域の人の入浴や暮らしに配慮することが、温泉津で心地よく過ごすための大切な心がけです。



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