尾瀬国立公園はどんな場所?
尾瀬国立公園(おぜこくりつこうえん)は、群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがる、総面積約37,222haの国立公園です。
本州最大の高層湿原である尾瀬ヶ原、燧ヶ岳の火山活動によって形成された尾瀬沼、そして至仏山(しぶつさん/標高2,228m)や燧ヶ岳(ひうちがたけ/標高2,356m)などの山々がつくる景観が大きな特徴です。
尾瀬は、貴重な自然が守られてきた場所としても知られています。
尾瀬は「日本の自然保護運動の原点」ともいわれ、景色を楽しむだけでなく、自然を傷つけない歩き方そのものが大切にされてきました。
2007年8月には日光国立公園から分離・独立して、会津駒ヶ岳や田代山、帝釈山などの周辺地域も編入する形で単独の国立公園に指定されました。

尾瀬国立公園で見たい代表的な景色
尾瀬ヶ原の広がりを木道から味わう
尾瀬を象徴する風景としてまず挙げられるのが尾瀬ヶ原です。
標高約1,400m、東西約6km・南北約2kmにわたって広がる本州最大の高層湿原で、泥炭層の厚さは最大4.5mを超える場所もあります。
湿原はとても繊細な生態系なので、整備された木道を歩きながら、空の広さや池塘(ちとう)、遠くの山並みをゆっくり眺めるのが基本になります。
尾瀬沼と大江湿原で尾瀬らしい水辺を見る
尾瀬沼は、燧ヶ岳の火山活動によって形成された湖沼で、標高は約1,665mです。
南側から流れ出た溶岩が沼尻川付近をせき止めたとする説や、燧ヶ岳南面の大規模な山体崩壊によってできたとする説が知られています。
沼の北岸や東岸には大江湿原(おおえしつげん)が広がり、湖と山が重なる風景は、尾瀬ヶ原とはまた違う落ち着いた魅力があります。
至仏山・燧ヶ岳がつくる尾瀬の輪郭
尾瀬の魅力は湿原だけではありません。
尾瀬ヶ原の西端にそびえる至仏山(標高2,228m)と、東北地方最高峰の燧ヶ岳(標高2,356m)は、ともに日本百名山に数えられる名峰です。
至仏山や燧ヶ岳の存在があることで、平らな湿原と険しい山の対比が生まれ、尾瀬らしい風景の印象をより深くしています。

初めての尾瀬国立公園、どの入口から歩く?
尾瀬ヶ原を見たいなら鳩待峠側から考える
尾瀬ヶ原を中心に歩きたい人は、群馬県側の鳩待峠(はとまちとうげ)から山ノ鼻へ向かう流れをまず確認するとイメージしやすいです。
鳩待峠から山ノ鼻までは標高差約200m、徒歩で約1時間の下り道です。
山ノ鼻の先では、尾瀬ヶ原の木道を牛首分岐や竜宮、見晴方面へと歩いていけます。
尾瀬沼を見たいなら沼山峠側から考える
尾瀬沼の景色を中心に楽しみたいなら、福島県側の御池(みいけ)からシャトルバスで向かう沼山峠(ぬまやまとうげ)側も入口として押さえておきたいところです。
沼山峠から尾瀬沼東岸までは徒歩で約1時間ほどで、尾瀬沼ビジターセンターは尾瀬沼東岸にあります。
群馬県側から尾瀬沼を訪れる場合は、大清水から一ノ瀬・三平峠を越えて尾瀬沼南岸へ抜けるルートも使われています。
ビジターセンターを活用すると歩きやすい
山ノ鼻ビジターセンターは尾瀬ヶ原や至仏山周辺、尾瀬沼ビジターセンターは尾瀬沼や燧ヶ岳周辺の情報発信拠点です。
どちらも現地の自然情報や登山道の状況、開花状況などを知るのに役立つので、歩き始める前に立ち寄ると、その日の散策計画を立てやすくなります。
英語資料やトイレも併設されているため、海外からの旅行者にとっても使いやすい拠点です。
出発前は交通・開設情報を確認する
尾瀬では、道路の冬季閉鎖解除、シャトルバスの運行、公衆トイレやビジターセンターの開設時期が季節によって変わります。
一般的な開山期間は5月中旬から10月下旬頃で、鳩待峠へのマイカー規制や戸倉からの乗合バス・タクシーの運行も時期によって変動します。
出発前に交通情報や施設情報を確認しておくと、入口選びや当日の行動計画を立てやすくなります。

季節ごとに尾瀬国立公園で見られる景色
尾瀬では、ミズバショウ、ワタスゲ、ニッコウキスゲ、草紅葉(くさもみじ)など、季節ごとの見どころがあります。
春から初夏(5月下旬〜6月中旬)はミズバショウ、6月下旬〜7月上旬はワタスゲの白い綿毛、7月中旬〜下旬はニッコウキスゲの黄色い群落、9月下旬〜10月上旬は湿原全体が赤茶色に染まる草紅葉と、訪れる季節で印象が大きく変わります。
同じ尾瀬でも、花を見たいのか、湿原の広がりを感じたいのか、紅葉を楽しみたいのかで歩く場所の選び方は変わります。
行き先を決めるときは、尾瀬ヶ原、尾瀬沼、至仏山周辺など、見たい景色に合わせて考えると計画が立てやすいです。

尾瀬国立公園で守りたいルールとマナー
尾瀬では、湿原保護のため木道から外れないこと、ごみを持ち帰ることが基本です。
国立公園の特別保護地区では動植物の採集が禁止され、枯れ枝を拾うこともできません。
また、尾瀬の公衆トイレはチップ制で、利用時には1回100円程度の協力金が呼びかけられています。
山小屋は事前予約が基本で、指定地以外での野営は禁止されています。キャンプできるのは山ノ鼻・見晴・尾瀬沼東岸の3地区だけです。
尾瀬沼東岸のキャンプ場は予約制で、いずれの指定地でも焚き火や残飯の放置は禁止です。
登山道では、木道や植生への影響を避けるため、ストックにキャップを付けること、雪のない場所ではアイゼンを外すことも呼びかけられています。
ツキノワグマが生息する地域でもあるため、熊鈴の携行や早朝・夕方の単独行動を控えるなど、現地の安全情報を確認しながら歩く意識も大切です。
尾瀬国立公園へのアクセスと服装の目安
主要な入口へのアクセス
鳩待峠へは、JR上越線・上毛高原駅や沼田駅からバスで戸倉まで行き、戸倉から乗合バス・タクシーに乗り換えるのが一般的です。
沼山峠方面は、会津高原尾瀬口駅(野岩鉄道)から会津バスで御池へ向かい、御池からシャトルバスで沼山峠へアクセスします。
東京方面から向かう場合は移動に時間がかかるため、前泊や山小屋泊を組み合わせる人も多いです。
服装と持ち物
尾瀬の湿原は標高約1,400m、山上は2,000mを超えるため、真夏でも朝夕は肌寒く感じる日があります。
速乾性の長袖・長ズボン、雨具(上下セパレート)、滑りにくいトレッキングシューズ、飲み水、行動食、地図、ヘッドランプを基本装備として準備しておくと安心です。
木道は濡れると滑りやすいので、雨天時や朝露の時間帯は特にゆっくり歩くのがおすすめです。

