碓氷第三橋梁・めがね橋とは|群馬の鉄道遺産を知る
群馬県安中市の山あいに残る碓氷第三橋梁(うすいだいさんきょうりょう)は、四つの煉瓦アーチが谷をまたぐ旧信越本線の鉄道橋です。
川底からの高さは約31メートルにおよび、通称「めがね橋」として親しまれる、我が国最大級の煉瓦アーチ橋です。
橋を下から見上げるだけでなく、遊歩道を通って橋上を歩くこともでき、見る位置によって表情が大きく変わります。
正式名称は旧碓氷峠鉄道施設第三橋梁
文化財としての名称は「旧碓氷峠鉄道施設 第三橋梁」で、煉瓦造の四連アーチ橋として国の重要文化財に指定されています。
指定は平成5年(1993年)で、明治25年に建設が始まり同年12月に完成した、近代日本の鉄道史を伝える構造物です。
橋長は91.1メートルで、山岳鉄道を支えた大規模な構造物であることが分かります。
急勾配を越えたアプト式鉄道の記憶
碓氷峠の区間では、急な勾配を克服するためにアプト式(歯車を用いた登坂方式)と呼ばれる仕組みが用いられていました。
横川駅と軽井沢駅を結ぶ旧線は最大66.7パーミルという急勾配で知られ、この難所を越えるために煉瓦の橋やトンネルが数多く築かれました。
橋やトンネルを単体で見るだけでなく、険しい地形に鉄道を通した計画全体を想像すると、景観の意味が深まります。
煉瓦と山の風景が重なる場所
赤褐色の煉瓦は、周囲の新緑、深い緑、紅葉、冬枯れの景色によって印象が変わります。
建築、鉄道、写真、自然散策のどれを目的にしても、異なる視点で楽しめる観光スポットです。

めがね橋の見どころ|橋下と橋上を歩き分ける
めがね橋は、見上げる場所と橋上では景色の性格が大きく変わります。
時間に余裕を持ち、同じ構造物を下と上から見比べると、四連アーチの大きさと鉄道橋としての役割を立体的に理解できます。
橋下から四連アーチの全体を見る
橋の下では、四つのアーチが連なる輪郭と、谷の地形に合わせて伸びる橋脚を一度に見渡せます。
近づくほど煉瓦の積み方や補強部分が見えやすくなりますが、保護柵の外へ入ったり、斜面を登ったりしないことが大切です。
123段の階段を上って橋上へ向かう
橋上へ続く階段は123段です。
段差が続くため、歩きやすい靴を選び、息を整えながら自分のペースで上りましょう。
階段の利用が難しい場合でも、橋下からアーチ全体を眺めるだけで構造の特徴を十分に感じられます。
橋上で廃線跡の方向を確かめる
橋上は遊歩道「アプトの道」の一部で、線路が延びていた方向と山の斜面を同時に眺められます。
足元の通路だけでなく、前後に続くトンネルの位置にも注目すると、かつて列車が進んだ経路を想像しやすくなります。
煉瓦の色と積み重なりを観察する
遠景では大きなアーチが主役ですが、近景では煉瓦一枚一枚の色むらや目地が橋の表情をつくっています。
長い年月を経た素材の変化は見どころですが、文化財に触れ続けたり、物を立てかけたりせず、目で観察しましょう。

アプトの道と合わせる歩き方|横川から廃線跡へ
めがね橋だけを訪ねる方法と、横川側からアプトの道を歩いて到着する方法では、旅の体験が異なります。
鉄道遺産の連続性を重視するなら徒歩、橋の観察に集中するなら駐車場からの訪問が向いています。
横川駅から歩くと物語がつながる
アプトの道は、旧信越本線の廃線敷を利用した全長約6キロメートルの遊歩道で、横川駅から熊ノ平駅までを結びます。
横川駅側から進むと、国の重要文化財である旧丸山変電所や10のトンネル、6つの橋梁をたどりながら、めがね橋へ近づけます。
横川駅からめがね橋までの徒歩目安は100分とされているため、観光の途中に気軽に加える散歩ではなく、歩行を主目的にした計画が必要です。
駐車場から橋を往復する
めがね橋駐車場から橋までは徒歩5分です。
短い滞在でも橋下と橋上を見比べやすい一方、駐車台数には限りがあり、紅葉期などは譲り合いが必要です。
駐車場には男女別の公衆トイレとバリアフリートイレがあるため、橋へ向かう前に利用しておくと安心です。
トンネル照明と帰路を先に確認する
アプトの道のトンネル内照明は、午前7時から午後6時まで点灯します。
午後6時に消灯すると夜間のトンネル内は危険なため、通行は照明時間内に済ませましょう。
めがね橋周辺には街灯がなく、日没後は暗くなるため、到着時刻だけでなく帰路の明るさを基準に行動してください。
天候や工事、自然状況で通行条件が変わる場合があるため、出発前に安中市の通行情報を確認するのが安全です。

めがね橋へのアクセス|電車と車での行き方
めがね橋は山あいに位置するため、電車と車のどちらで向かうかによって準備が変わります。
公共交通と自家用車それぞれの目安を把握し、帰りの時間まで見通して計画すると安心です。
電車ではJR信越本線横川駅を起点にする
JR信越本線の横川駅から遊歩道アプトの道を経由して徒歩100分が目安です。
横川駅までは高崎駅からJR信越本線でアクセスでき、駅周辺には碓氷峠鉄道文化むらがあります。
車では松井田妙義ICが目印になる
車の場合、上信越自動車道の松井田妙義インターチェンジから約15分です。
めがね橋駐車場は台数に限りがあるため、紅葉シーズンなどの混雑期は時間に余裕を持って向かいましょう。
季節ごとの景色と服装|山あいの環境に備える
煉瓦の橋は通年同じ形を見せますが、背景の木々と足元の状態によって体験は変わります。
都市部の観光より気温差や路面の変化を意識し、季節に合う準備を整えましょう。
季節で変わる見え方を比べる
景色と準備の違いを、季節ごとの視点で整理します。
| 季節 | 見え方 | 備え |
|---|---|---|
| 春 | 芽吹きと煉瓦 | 薄手の上着 |
| 夏 | 濃い緑と日陰 | 虫よけ |
| 秋 | 紅葉と橋 | 混雑を考慮 |
| 冬 | 枝越しの輪郭 | 防寒と滑り対策 |
紅葉の見頃は例年11月上旬から中旬ごろで、景観を楽しむ人が増えるため、撮影場所や通路を長時間占有せず、周囲の流れに合わせると落ち着いて見学できます。
靴と携行品を山歩き基準で選ぶ
舗装や整備がある区間でも、階段、落ち葉、湿った路面、トンネル内など、足元の条件は一定ではありません。
滑りにくい靴、両手が空くバッグ、飲み物、体温調節しやすい上着を基本にすると動きやすくなります。
害虫対策と熊対策として、虫よけや熊鈴なども季節と状況に応じて準備してください。

めがね橋の写真撮影|構図と通行への配慮
四連アーチを一枚に収める写真と、煉瓦やトンネルを切り取る写真では、立つ位置が変わります。
撮影の完成度よりも、安全な場所から通行を妨げずに撮ることを優先してください。
橋下ではアーチと人物の大きさを比べる
橋全体を写すときは、アーチの曲線だけでなく、山の斜面や通路を画面に入れると規模感が伝わります。
同行者を写す場合は、歩行者の動線から外れた場所で短時間に撮影し、後ろ向きに歩きながら構図を探さないようにしましょう。
橋上では進行方向の奥行きを使う
橋上では、遊歩道の線とトンネルの入口を組み合わせると、廃線跡が山へ続く感覚を表現できます。
手すりから身を乗り出したり、三脚で通路を狭めたりせず、他の歩行者が通れる幅を残してください。
視点ごとの違いを選ぶ
撮りたい内容に合う位置を、次の表で整理します。
| 視点 | 主役 | 構図のヒント |
|---|---|---|
| 橋下正面 | 四連アーチ | 全体を広く |
| 橋下斜め | 橋脚の厚み | 奥行きを出す |
| 橋上 | 廃線跡 | 通路を中心に |
| トンネル側 | 煉瓦の質感 | 明暗を生かす |
雨上がりや逆光では見え方が大きく変わるため、画面だけを見続けず、足元と周囲を頻繁に確認しましょう。
安全とマナー|文化財と自然を守って見学する
めがね橋は文化財であると同時に、山の中の歩行ルートです。
建物の保護、歩行者同士の譲り合い、野生動物への備えを一つの行動として考える必要があります。
暗くなる前に橋を離れる
24時間見学でき、年中無休ですが、周囲に街灯はありません。
夜間見学を前提にせず、橋上、階段、駐車場までの道を明るいうちに移動できる計画にしてください。
橋上では自転車を走らせない
めがね橋の橋上を含む遊歩道アプトの道では、自転車の走行が禁止されています。
自転車を伴う場合は、現地の案内表示に従い、歩行者の安全と文化財の保護を優先しましょう。
ペットはリードと排泄物処理を徹底する
犬などのペットを同伴して見学できます。
リードを装着し、狭い場所では短く持ち、排泄物を必ず持ち帰ってください。
現地で迷わない行動基準
見学時の行動を、守りたいことと避けたいことに分けて確認します。
| 場面 | 守ること | 避けること |
|---|---|---|
| 橋上 | 譲り合って歩く | 通路の占有 |
| 階段 | 手すりを使う | 急な追い越し |
| 撮影 | 周囲を確認 | 後退し続ける |
| 文化財 | 観察を楽しむ | 登る・傷つける |
| 自然環境 | ごみを持ち帰る | 餌を与える |
案内板や規制表示がある場合は、この記事より現地の指示を優先してください。
まとめ|めがね橋を安全に深く味わう
碓氷第三橋梁・めがね橋は、四連の煉瓦アーチ、橋上の廃線跡、周囲の山景色を一度に見られる群馬の鉄道遺産です。
橋下で全体を見上げ、体力と時間に余裕があれば123段の階段から橋上へ進むと、構造物と路線の両方を理解しやすくなります。
アプトの道を歩く場合は、トンネル照明、日没、天候、足元を事前に確認し、文化財と自然を傷つけない静かな見学を心がけましょう。





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